「 ゆとり教育の弊害 」とか「 これだからゆとり世代は・・・ 」なんていう言葉、耳にしたことありませんか?
ゆとり教育とかゆとり世代というと、マイナスなイメージでしか見られないのが現状のようです。
もともとは詰込み型教育からの脱却、豊かな人間性の形成が目的で始まったゆとり教育でしたが、本来の目的から離れた結果を生んでしまったようです。
今年の新入社員は、ズバリゆとり教育世代ということで、その特徴やコミュニケーション方法などを考えてみたいと思います。
ゆとり世代の仕事ぶりの特徴とは?!
まず、この世代の特徴として挙げられるのが、不景気の真っただ中で育っているので、非常に現実的で野心というものがあまりない、ということです。
なおかつ、携帯電話やPHS、インターネットなどの通信手段が活気を帯び、小さい時から情報化社会の中で育っているので、仕事もプロセスより結果を求める傾向があり、地道に根気良くという作業は好みません。
仕事よりもプライベートを大事にするので、会社の飲み会にも出たがらないですし( これは新入社員だけではありませんが・・・ )、お昼休みもヘッドホンを聞きながら一人でランチという人が多いようです。
また、自主的というより受動的で、上司や先輩の指示がないとなかなか動かない、という特徴があると言われています。
ゆとり世代への教育方法、基本方針
そもそもなぜ、ゆとり教育が誕生したのでしょうか。
戦後・日本の教育をみてみると、経験型教育→詰込み教育→ゆとり教育→脱ゆとり教育、と推移しています。
一番影響しているのが、詰込み型教育です。
高度で過密な内容とスピードを重視した結果、知識偏重で落ちこぼれる生徒が続出することとなってしまいました。
その反省点を踏まえて生まれたのが、ゆとり教育というわけです。
みんな一緒、競争よりも協調性、団栗の背比べが良しとされました。
ゆとり教育の特徴として、授業数の削減や討論・発表・調査の時間を設けるなど、思考力を育む教育へと変わっていきます。
とにかく知識をたくさん入れ込むやり方から、少しゆとりを持って理論的に考える力をつける方針に変わっていったわけですが、いつの間にか、軟弱な若者が増えたと言われるようになってしまったのです。
できない、辞めるという評判は本当か?
先述したように、効率的で即効結果を求め、どちらかといえばコミュニケーション不全な世代の彼らですが、自分のキャパシティーを超えた仕事に対して、「 できない、辞める 」という評判は本当なのでしょうか。
実際、それがやる意味がなかったり、プラスに働くようなことでない限り、やりたくないのが本音でしょう。
まるでやる気がなく、できない・辞めたいというならば個人の問題ですが、そうでない場合もしかしたら、より自分らしく働ける場所を求めているのかもしれません。
今年はフルゆとり世代らしい
今年の新入社員は唯一、小中高のすべてにおいてゆとり教育を受けてきた、究極のゆとり世代です。
1995年生まれ、学習指導要領が改定され施行された年に小学生となり、2013年4月に脱ゆとり教育に切り替わるまで、最後のゆとり教育世代ということになります。
その間も、阪神大震災や地下鉄サリン事件、リーマンショック、東日本大震災などの歴史的節目となるような、社会的事象にも直面し、良くも悪くもその影響を受けているということができると思います。
ゆとり世代とうまく付き合うには?
汗水垂らし努力することが素晴らしい、と考えらえてきた上司の世代と、無駄を省き効率よく結果を出すことを良しとする、ゆとり世代。
生まれた時代背景や育った環境などにより、考え方やものの見方が違うのは当然のことで、どちらが良い悪いとは一概に言えません。
大事なことは、違いを排除するのではなく受け入れることです。
それぞれの違いをうまく融合させることができれば、新しい価値観を生み出すことができます。
一方的に頭ごなしに否定するのではなく、まずは受け入れてみましょう。
補足:ゆとり世代とは?
ここまでゆとり世代について考えてみましたが、ゆとり世代をもう少し細かく見ていきたいと思います。
- ゆとり教育を受けた世代は、1987年から2004年までに産まれた人が対象。
- はじめに受けたことになる1987年―1988年生まれの世代を「 ゆとり第一世代 」と言う。
- 産まれた時から、情報化社会の時代に突入していたため、通信端末機器が当たり前に存在していた影響から、SNSなどのソーシャルネットワークをコミュニケーションツールとして、完全に使いこなしている世代。
- 好景気を経験したことがないため非常に現実的で、一攫千金を夢見るより堅実に貯蓄をする傾向にある。
- 仕事を生きがいにする人は少なく、趣味やプライベートを大事にし、出世などは望まない。
- 海外志向が強くなく、人生にあまり刺激を求めない。