「円満退職がしたい」
誰でも望む退職スタイルとはこれのこと。
かく言う私自身、退職・転職を2年ごとにしているので、“円満退職”が、どれほど気が楽なのかわかります。
さて、人が退職や転職をするときには必ず理由がありますよね。
「いや…単に仕事をしたくないから…」というのも立派な理由です。
- 職場の関係性に嫌気がさしている
- 給料が低くて嫌気がさしている
など、精神的に深刻な悩みを抱えて退職をしたい方も大勢いることでしょう。
それらの理由をそのまま告げて辞める方もいますが、この記事を読むあなたは、おそらく正直に話すことが億劫に感じる方なのではないでしょうか。
そのような方が円満退職を目指す際に思い浮かぶのは、「退職理由に嘘をつくか否か」
そもそも退職理由に“うそ”を使うことに対し悩むのはなぜでしょう。
辞めてしまえば関係がなくなるのだから、別に嘘ついてもよいのでは?と思う方もいるかと思います。
なるほど、調べていくと、バレるのがこわい、というのが悩む理由の一つのようですね。
そこで今回は、円満退職に向けた退職理由に嘘をつくことに関して、嘘がばれた際のデメリットや男女別の退職理由ランキングを紹介していきたいと思います。
最後には、円満退職できる“うそ”もご用意しておりますので、参考にどうぞ!!
退職理由で嘘がバレたらどうなる!?
はじめに押さえておきたいのは、退職理由に嘘を使用した場合、損害賠償やら社会的制裁が加えられるのか、という点ですが。
法の下で「そのような制裁はない」というのが答えです。
そもそも、従業員が退職する際に理由を会社に説明する義務がないのです。
民法第627条を引用しておきますね。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法第627条1項
退職に必要なのは“理由”ではなく“申し出”なので、嘘をついたところで、もともと必要のない要素であるために、嘘をついたからと言って罰則はないのです。
上司が退職理由を聞くのは「仕事」だからです。
従業員が辞めることによる採用コストが発生するのを防がなくてはいけないからです。
私の経験上、どんな理由を述べても必ず上司は食い下がります。
最初の職場では辞めるまでに半年は説得に時間がかかりました。
直属の上司だけでなくさらに上の上司とも何度も面談を重ねた記憶があります。
それほど、会社にとっては新たな人材を採用することに時間もお金も割くことを嫌うわけです。
それなら、退職理由が嘘でも本当でも関係ないのでは?と思うでしょうが、嘘をついた場合、社会的制裁はないにしろ、退職までの期間の“気まずさ”が発生します。
気まずさ発生ケースの例として、以下のようなことがあるようです。
- 辞める前にバレて嫌がらせをうけたケース
- 嘘による祝福を受け、嘘をつき続けることが辛いケース
- 寿退社と嘘をついてしまったケース
嫌がらせを受けるのはなかなかきついものですよね。
私も軽く退職理由に嘘をついたら、辞めるまでの半年間、上司と目が合いませんでした。
また、ろくな仕事を与えられず“空気”となっていました。
また、3つ目の寿退社と嘘をつくのは最もリスクが高いです。
会社によっては【ご祝儀制度】というものがあり、組合からお祝い金を頂いたり、上司からお祝い金を頂いたりする場合があります。
ご祝儀制度には結婚したことの証明となるものを提出する必要がありますが、上司からのご祝儀は“気持ち”や世間体が多くを占めます。
日本において、“内祝い”をお返しするのは暗黙のルールと化しています。
それにより、無駄なコストが発生するので、ありもしない結婚を理由にすることだけは避けたほうがよいのです。
さて、退職理由に嘘をつくのは、法のもとにはOKですが、退職するまでの期間の気まずさや嫌がらせ発生するかもというのがついてくるのですね。
法の下には退職2週間前までに退職の旨を伝えればOKですが、現実的には最低でも1~2か月前までには伝えないと会社的には厳しいものです。(まあ、会社を困るのなんて関係ないのなら別ですが)
退職を決めてもある程度の期間を在職していなければならないとすると、嘘をつく場合のデメリットは知っておくに越したことはありませんね。
男性、女性の退職理由ランキング!
それでは世の中の辞めたい人の理由とはどのようなものでしょうか。
同志がいることの安心感を得るもよし、オリジナルの理由で辞めるのを自覚するのもよし、目指すところは皆一緒!
まず厚労省から出されている離職率をみてみると、男性(12.5%)より女性(17.1%)のほうが高い割合となっています。
また、宿泊業・飲食サービス業が、入職者数が最も多いのですが、離職率は最も高くなっているようです。
ただ、今回のコロナの影響で会社の倒産、医療者ですらボーナス減(もしくはゼロ)などで、今後出される離職率の推移は大幅に変化することでしょう。
年齢によっても離職率は差があり、男女ともに24歳以下と60歳以上の離職率が他より高いようです。
それでは転職者が前職をやめた理由割合から、男女別の離職理由をみてみましょう。(契約期間の満了を除いています)
男女別(男性)
第1位:収入が少ない
第2位:労働時間・休日の労働条件が悪い
第3位:職場の人間関係が好ましくない
第4位:会社の将来が不安
第5位:能力・個性・資格を生かせない
男女別(女性)
第1位:労働時間・休日等の労働条件が悪い
第2位:職場の人間関係が好ましくない
第3位:収入が少ない
第4位:仕事の内容に興味をもてない
第5位:能力・個性・資格を生かせない
男女とも労働環境や賃金について不満があっての離職というのがわかりました。
さらに年齢別の内訳でみてみましょう。
年齢別(男性)
25~34歳で「収入の少なさ」、19歳以下~24歳で「職場の人間関係不良」を理由に挙げる方が多くなっています。
結婚適齢期になる男性側は、収入への不安=将来への不安となり、割合が高くなる傾向があるように感じます。
また、若年層においてはパワハラなどを受けやすかったり、社会経験の未熟さゆえに対人関係に悩んだりする方が多くなるのかもしれません。
年齢別(女性)
25歳~39歳は「結婚」、25~34歳は「労働条件の悪さ」を理由に挙げる方の割合が格段に多くなっています。
仕事を始めて数年して、結婚適齢期となったときに、自分の生活スタイル(出産・育児含む)に合わない労働条件であると感じる方が多いのかもしれませんね。
男女別の離職理由もですが、年齢によっても離職理由は変化してきます。
みなさん様々な理由を抱えて、それらを押し殺して“うそ”をついて辞める方もたくさんいるのではないでしょうか。
円満退職出来る上手な”うそ”の付き方と理由
最後に円満退職への具体的な方法をご紹介していきますよ!
円満退職のための方法として重要なのは、どう伝えるか。
最初にも述べましたが、どんな理由であれ、仕事なので上司は引き止めるのです。
そのため、マナーをおさえることで、上司の引き留めを最小限にすることが可能となるのです。
以下の4つにまとめてみました。
- 最初は直属の上司に面と向かって報告する
- 不平不満を伝えることはできる限り避ける
- 退職希望日の1~3ヶ月前に伝える
- 引き継ぎ業務はできる限り行う
1つ目の上司への“報告”としたのは“相談”とすると、「退職を悩んでいる」という状態だと捉えられるので、引き留めの余地を生み出してしまいます。
そのため、既に自分の中で決めた退職であれば、「報告があります」で突き通す必要があるのですね。
2つ目の不平不満があるけど言いにくいから嘘をつく、という考え方もありますが、この場合の「嘘をつく」行為は、スムーズに短期間で退職までこぎつけるための手段になるという考え方もあるのです。
なんなら、不平不満を逆手に、「その点を改善すれば退職しないんだよね」と押し切られるケースも。
あくまでも個人的理由で押し通すか、嘘をつくのが嫌なら
「一身上の都合」を使いましょう!!
法の下には理由は必要ないので「一身上の都合」で十分なのです。
理由をほじくられそうですが、その圧に耐えられるなら、どうしても嘘をつくのが嫌な方は使ってみてください。
3つ目、4つ目は会社側にとって困らない辞め方なら、仕方がないと早々にあきらめてもらえる可能性を高くする方法です。
自分が辞めた後のしりぬぐいが少ないほうが、辞めやすい状況に持っていきやすいですからね。
さて、前説が長くなりました。本題です。
5種類の“うそ”を用意しましたので、突き通せる方のみ使用してください。
- 新たなことへの挑戦
- やりたい仕事が具体的にある
- 結婚の予定がある(予定というところが重要です)
- 家庭の事情
- 体調不良
新たなことへの挑戦
【ポイント】:
お世話になったことの感謝を伝えつつ、今の会社ではできないことをやりたい!という気持ちで臨む“うそ”です。
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。【感謝の意】
突然のことで大変恐縮ではありますが、○月末をもって退職をさせていただきたいと考えております。【退職の“報告”なので、いつ辞めるのか明確に】
一から自分を育てていただいた会社や上司の皆さんにはとても感謝しています、一方で、今までの経験を活かし、違った分野・業界で自分の力を試してみたいという気持ちも強くなりました。【感謝の意&今の会社ではできないことアピール】
年齢を重ねるにつれ、未経験分野への挑戦が難しくなることを考えると、今がベストなタイミングではないかと思っております。【退職希望日はずらさないアピール】
身勝手なことは重々承知ですが、ご理解いただけますと幸いです。【社会人のあいさつとしてのマナー】
やりたい仕事が他にある
【ポイント】
今の職場で学べたことがある上で、もともと持っていた夢をあきらめきれない気持ちをもって臨む“うそ”です。
今の会社では、素晴らしい上司や同僚に囲まれながら、やりがいのある仕事をまかせていただき、充実した日々を過ごすことができました。共に働いた皆さまには大変感謝しております。【感謝の意、やりがいのある仕事であった感想】
一方で、学生時代(以前)から憧れていた○○業界で働いてみたいという気持ちがぬぐえずにおり、熟慮を重ねた結果、挑戦することを決意しました。【元々の夢を具体的な分野名を出し語る】
結婚の予定がある
【ポイント】
結婚する日程はほのめかし、あえて結婚の“予定”段階であることを強調する“うそ”です。
“予定”が大切なのは先に述べた通り、“ご祝儀制度”を切り抜けるためです。
私事で大変恐縮なのですが、この度、以前よりお付き合いをしていた方と結婚する運びとなりました。【お付き合いの相手が現在地より離れていることも理由にすると◎】
つきまして、○月末にて退職させていただきたいと考えております。
【具体的な日程により結婚に向けて新生活を始めるアピール】
今の仕事はとても充実しており、結婚後も働き続けることも考えましたが、家庭を第一にしようと思い、退職することを決意しました。何卒ご理解いただけますと幸いです。
【一応、働き続けることも検討した誠意を示す】
家庭の事情
【ポイント】
身内の人を使っても社内にバレない自信がある方におススメの“うそ”です。
家族構成や同居か別居の状況などを知られていると嘘をつくのは難しくなるのでご注意を。
両親が高齢になり、介護のため(家業をつぐため)退職を考えております。
【介護や実家を継ぐ系の理由は年齢が上の上司には特に効くかも】
ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。
【会社より身内を優先させてしまい申し訳ない気持ちを出して誠意を示す】
体調不良
【ポイント】
診断書が必要な場合もあるので、一番リスクの高い“うそ”です。
しかしながら、一番辞めるのに説得に時間がかからない“うそ”だと思います。
近頃、体調不良が続いていた中で、だましだまし仕事を続けてまいりました。
先日医者にかかったところ、いつ倒れてもおかしくないと告げられました。
【うつむき加減を直そうとする様子で誠意を見せると上司の同情を買えます】
【病院に通っていることも明かす】
また、自身でも、このままではいけないと思い、考えた末、会社を退職することを決意しました。
【体調を悪いままで仕事をすることへの申し訳なで同情を誘う】
休職も考えましたが、会社に迷惑がかかりますし、復帰後、今と同様の業務をこなすのは難しく、ご迷惑をおかけすることになってしまいますので、誠に勝手ながら退職をご了承いただけますと幸いです。【有無を言わさず、すぐに辞めたい意思】
というような形の“うそ”でしたが、使えそうな方法はありましたか?
言葉だけで取り繕うのではなく、上司から視線をそらさず、嘘を使ってでも辞める意思を伝えることが大切です。
まとめ
離職率、1割を超えているのですね、10人に1人~2人はやめているのですよ!
これは心強い!!!
そして退職理由に嘘をついても社会的制裁はなく、上手に“うそ”をつけることで余計な引き留めをおさえることができるのです。
円滑に円満退職をしたい方は、ぜひ、離職理由も参考に、自分の年齢や状況に合った“退職理由”をご検討ください。